オリジナル童話

ナタリーとキースの魔法茶屋~雨降れアンジー①~

2021年4月8日

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 身体がだるい。重い。頭がガンガンする。
 布団に潜りこんだまま、手だけを動かして、煩く鳴り響く目覚まし時計を止める。やかましい音から解放され、もう少しだけと思うも、その思いは尚も響く音で遮られる。その音はどこか遠くで一定の速度を保って鳴り続けているようだ。

「……もしかして」

 飛び起きて、カーテンを開く。目に入るのは青々とした広大な空ではなく、窓ガラスに張り付く水滴。それらは、ただの窓ガラスをまるで美しい彫刻かのように輝かせている。

 今日は、雨だ。

「やった……」

 タクは小さく呟いた。いつもならばもう少しベッドでグダグダするのが常なのだが、雨だとわかると自然と身体が動いた。何食わぬ顔でリビングへと向かうものの、抑えきれぬ感情が軽快にリズムよく踏む階段の音となって響いていた。コーヒーの芳ばしい香りとほんのりバターの匂いが漂っている。

「おはよう。今日は上機嫌ね」
「おはよ。別に普通」

 母は何かと鋭い。何でもないように言ってみせたものの、肩を竦めながらやれやれと言わんばかりの薄ら笑みで朝食を出してくれた。

「タクって雨の日は機嫌良いよね。っていうか、こっちに来てからほとんど雨って言ってもいいくらいに雨の日だけど。あんたはイギリスの方が合ってたのかもね」

 そう言いながら、姉は当たり前のように紅茶をすする。

「いや、日本の方があってるかも」

 そう答えながら、タクはコーヒーを手にとり、その香りと苦みに安堵する。

 タクたち家族は父親の仕事の関係で、渡英してきた。父と姉は6年前に、母とタクはタクの中学卒業に合わせて4年ほど前にイギリスへとやってきた。日本とこちらでは大学への入学条件がかなり異なる。渡英の時期を調整しつつ、なんとか高校に間に合わせた、といった感じだ。

 まだ若いとは言え、幼少期のほとんどを日本で過ごしたのは大きいといえるだろう。戸惑うことが多々あるのだ。こちらに移住することを見据えて、英語を勉強していたものの、何も考えずに英会話スクールへと通ったものだから、習ったのはアメリカ英語だった。やはり、アメリカ英語とイギリス英語では若干のニュアンスが違う。そして、この若干のニュアンスが慣れるまでは、お年頃のタクにはかなり辛かった。そして、現在も続く悩みとしてあるのは、姉と母、さらには父までが当たり前のように飲んでいる紅茶だ。

 タクは、そこまで紅茶が好きではない。特段、嫌いな訳ではないのだが、タクはどちらかというとコーヒーや緑茶の方が好きなのだ。かといって、皆が嬉しそうに紅茶の話をしている時にコーヒーが飲みたい、日本茶が飲みたい、とは言い出しにくく、時に茶葉や濃さなど、どんな紅茶が好きかなどと聞かれる時もあるがタクにとって紅茶は紅茶。適当に言って出してもらう。こういう時、日本が恋しくなる。

 そして、日常的に違うと感じるのはもちろん天気だ。こちらはすぐに崩れがちで、なかなか日本のように晴れの日が続くといったことはない。
 姉や母は勘違いしているようだが、タクが雨の日に機嫌が良いのはイギリスにいるからではない。別の理由がある。そして、その雨の日に機嫌が良くなり始めたのは、大学に入学してほんの数か月経ってから。何でもかんでも、あたかもずっとそうであったかのように言うので困ったものだ。

 むしろ、自然に溶け込んでいる姉や母たちの方がイギリスに合っていたのではないかと思う。

 そんなことをぼんやりと考えていると、足下にブルネット色の丸い生き物がすっと現れた。

「アンジー! おはよう」

 自慢のふさふさの尻尾を揺らしながら、すり寄ってくる。アンジーも今日は機嫌が良いようだ。

「よしよし」

 気まぐれな彼女が甘えてくることは少ない。こういう貴重なタイミングは絶対に逃してはならない。

「今日はアンジーのお見合いの日なのよ~。みんな仕事や用事があるから、タク、お願いねぇ」
「分かってる。午後からなら大丈夫。ちゃんと住所とか名前とか、置いといて」
「もちろんよ、アンジーのお出かけセットと一緒に置いてるから。くれぐれもよろしくねぇ」

 そう言って、身支度を整えた母は行ってしまった。こっちでできた友人と出かけるのだとか。

「あーあ。上手くいったらアンジーも結婚ってことね。私たち、先こされちゃったねぇ」

 姉がクスクスと笑いながら洗面所へと向かう。きっとしばらくは出てこないだろう。今日来ている服は姉のお気に入りだ。デートに違いない。

「何が先越されちゃうだ」

 忙しい父はとっくに出勤済みだ。ひとり食卓に残され、自分しか飲まないコーヒーをおかわりした。

「ミャー」

 アンジーがさらに足にすり寄ってくる。何となく、タクがアンジーを連れていくとわかっているようだ。

「よしよし」

 撫でてやると、目を細めグルグルと鳴く。

「アンジーは俺を置いていかないよな?」

「ミャー」

 元気よく鳴くと、満足したらしい彼女はくるりと踵を返し、行ってしまう。アンジーの動きに合わせて、ふわふわと尻尾が揺れる。その尻尾を呆然と見ながら、タクは気になるあの子を思い返していた。そして、そっと手を合わせ小さく祈る。

「今日は……アンジーヘアーでありますように」

 気になるあの子はちょうど水質調査のあたりからタクの大好きなアンジーヘアーをやめてしまったのだ。

 

 

「おはよう」
「おはよう。シエナ、早いね」

 タクが大学のミーティングルームに足を運ぶと、既に彼女の姿があった。三つ編み、いわゆるおさげ頭の。

 雨だというのに今日も彼女はポニーテールではない。

 シエナに朝から会えて嬉しいはずなのに、心の奥底で仄暗いモヤモヤとした感情が自分の意思に反して湧き上がってくる。

 何で三つ編みにしたんだ? ポニーテールはもうしないのか?

 一言そう聞けばこのモヤモヤは解消されるのかもしれない。けれども、そんなプライベートなことを聞ける関係ではないし、その質問をしてしまったら、このモヤモヤさえも感じることができなくなるかもしれない。そう思うと、挨拶以外、何も会話が続かなかった。

 しばらくお互いに黙ったまま、資料の整理を行い、一言二言課題について質問と相槌を返したところで、ジャックたちが到着した。甘い雰囲気に持っていくべき、願ったり叶ったりの時間は自分の嫉妬心でただの課題の時間として散ってしまった。ただ、ジャックたちが来てこの空間が賑やかなものに変わり、シエナと会話がしやすくなったような気がする。

 チラリと斜め向こうで資料を眺めるシエナを盗み見る。

 シエナはとても優しく笑う。だから、別にポニーテールをしている彼女はすごく魅力的だけれど、髪をおろしていても、三つ編みにしてみいても、その美しさは何も変わらない。タクの惹かれてやまない、純粋で真面目なところだってどんな髪型であっても変わらない。

 けれど、一つだけ大きく変わったのは、タクのこの嫉妬や焦りの感情といってよいだろう。

 シエナは一体、誰のために髪型を変えたのか。

 この一点に限られる。よく、姉が彼氏の好きな色を身に付けたり、彼氏の好きな髪型にしている。

 そうこう考えを巡らせているとシエナが顔を上げ、目が合った。ブルネット色の瞳が優しく細められる。今、目が合っているのは自分だが、その瞳は本当は誰のことを想って、誰を愛しい人として映すのだろうか。

 途端に、胸が締め付けられるような気がした。

「タク、そっちは順調?」
「ああ、順調だよ」

 ぼんやりしていたことを見透かされたかと思い、慌ててそう答えて視線を資料へと戻す。しばらく、頭上にシエナの視線を感じてはいたものの、もう見上げることができなかった。これ以上シエナと目を合わせていたら、心まで見透かされてしまいそうだから。

 少し素っ気なくなってしまったかと反省したものの、数秒後には視線を感じなくなった。顔を上げずに彼女の方を盗み見ると、再び資料に集中しているのが伺えた。

 

「ねぇ、そろそろ休憩にしましょう」

 そのアンナの一声にそうだな、と皆が同意し、ランチをする運びとなった。

 そして、そこで話題に上がったのは来月に行われるクリスマスイベント。大学内の教会で行われるコンサートの後、場所を移動してちょっとした食事会が開かれる。それにはドレスコードがあり、大学でかなり人気のイベントのひとつとなっていて毎年大盛況なのだ。

 そのクリスマスイベントにここにいる全員が参加予定なのである。この時にクリスマスカードをシエナから貰えたなら。タクからもクリスマスカードを渡せれば。あわよくばクリスマスプレゼントまで渡せれば。そんなことをタクは考えていたのだ。シエナが髪型を変えるまでは。

 もし三つ編みが偶然で、今日はいつも通りなら、と少し期待していた。けれども、シエナは三つ編みにしてからどこか少し楽しそうで、前にも増して輝いて見える。これはもしかすると、もしかするかもしれない。

 もし、シエナがその想い人とイベントに来たらどうしようか。既に付き合っているかもしれない。そう思うと、課題も会話もたちまち集中できなくなってしまうのだ。

「ねぇ、もう服は決めた?」
「ああ、俺たちはもう決めてるぞ」

 ジャックに合わせて、適当に頷いておく。先日、ちょうど一緒に見に行ってきたところだ。

「へぇー。私とシエナはまだ悩んでるの」
「確かに。ドレスってデザインから色から多いから悩むよねぇ。妹もよく悩んでるよ」

 トビーがうんうんと相槌をうちながら、何やら考え事をしている。

「あ、えっと。そうなの。私も色で悩んでて。例えば、何色のドレスがいいと思う?」

 そのトビーの会話にシエナがのっかったのだ。思いがけない事態に、タクは驚いてシエナの方を見た。もしかして、相手はトビーなのだろうか。

 そんなシエナは照れながら下を向いていて、誰に聞いているのかまでは分からなかった。もしかしたら、トビーではなく全体に聞いただけなのかもしれない。そう言い聞かせ、小さく唾を飲みこむ。この緊張を隠すために。

「うーん、シエナは雰囲気が柔らかいから、パステルピンクとか?」
「クリーム色もいいわね! あ、でも、シエナは淡い水色のドレスも持ってなかった? あれもよく似合うよね」

 トビーとアンナの回答にシエナがほほ笑んで、ゆっくりとこちらの方を向く。流れ的に次はタクに答えを求めているのかもしれない。けれども、思考が渋滞して素直に意見を言うことができず、だんまりを貫く。ジャックが、淡い色はどれも似合いそうだな、と横で言っているのが耳に入った。

「ありがとう。でもいつも淡い色を着てるし、ちょっと変えてみようかなって悩んでて」
「あら! 例えば?」

 アンナが食い気味に突っ込む。

「黒とか……」
「黒?」

 そこで、思わず声が漏れてしまう。

 シエナに黒……。

 急に反応したタクに、シエナは驚いたのだろう。何度も瞬きをして、視線を泳がしながら付け加えた。

「あ、あと。ワインレッドとか」

 そう言ったとき、シエナがチラリとトビーの方を見たのを見逃さなかった。否、見逃したかったが見逃せなかった。トビーはワインレッドのセーターを身に付け、その椅子には黒色のジャケットがかけられている。
 いつも紳士的に微笑み、シエナの言葉に優しく応えているトビー。彼のジャケットとワインレッドのセーターが輝いて見える。

 ああ、やっぱり、誰かのために彼女は髪型を変え、身に付ける色を変えるのだ。

 そのことにどうしようもなく腹が立ち、仄暗い黒が、どんどんと濃い黒となって心を支配していく。そうなると、口からどんどんと言葉が滑り出してしまう。

「シエナに黒は絶対に似合わないと思う。……いつも通りの色でいいと思う」

 一瞬、沈黙が流れる。

 はっと気が付いて慌ててシエナの方を向くと、ブルネット色の瞳を揺らして弱弱しく眉を曲げ、無理やり明るそうに笑っていた。「いきなり変えたら、確かにちょっと変、だよね」と言いながら。

 初めてみる表情に、思わず固まってしまう。言い過ぎたかもしれない。でも、何を言ってももう遅いような、そんな気がした。

「ちょっと、タク!」

 アンナに促され、精一杯の言葉を付け加えてみる。

「ごめん。俺、ドレスのことわからなくて。……シエナが着たい色でいいと思う」

 視線を合わすことができなかった。それだけ言ったところで、タイミングよくタクのアラームが鳴り響く。

「あー、今日は用事があるんだっけ?」
「ごめん。午前で抜けさせてもらう」
「あー、うん。もうほとんど作業も終わってたし気にしないで。僕らもすぐに解散するよ。それじゃあ」
「埋め合わせは必ず。それじゃあ」

 何となく気まずい空気のまま、タクは急いで、大学を後にした。シエナはおろか、せっかく声をかけてくれたのに、トビーの方さえ向くことができずに。

 外にでると、朝から降り続けていた雨はいつの間にか、雪に変わっていた。

 シエナを悲しませてしまったのは、分かっている。あんな言い方をしなくてもよかったはずだ。

 そう思うと、まるで何かから逃げるかのように足取りがだんだんと早くなっていく。
 シエナの揺れる瞳を思い出し、ぎゅっと拳を握る。手袋を忘れた指先が冷たい。

 これがシエナにとって理不尽な感情であることは、分かっている。トビーが全く悪くないことも分かっている。今のタクには、シエナが誰のために綺麗になろうとしていても、口出しをする権利はないのだから。シエナの心は自由なのだから。

 傘もささずに歩いていたものだから、雪が肩に降り積もっていた。いくつかの雪は水滴となって染み込み、タクの黒いコートをさらに濃くしている。

 シエナがポニーテールをすると、その後ろ髪が歩く度に左右に大きく揺れる。それが微笑ましくて。シエナは相手の目をしっかりと見て話を聞く。だから、相槌も多く、彼女の反応に合わせて髪が揺れる。それが表情と同じくらいに、魅力的で。シエナは若干俯いて笑う癖があるから、彼女が笑うときは特段、小刻みに髪が揺れる。それが物凄く可愛くて。

 愛しさや可愛さがアンジーとどことなく似ていて、勝手に親近感まで持ってしまって。タクは想いを止めることができなくなってしまうくらいに、シエナのことが好きになってしまっていた。

 そのことに改めて気が付いて、雪が降る人混みの中、傘もささずに一人立ち止まる。
 目を瞑り、雪の冷たさを頬に、身体に感じながら、全身で後悔を受け止める。

 どうして、お茶のひとつにも誘わなかったのか。

 何度も何度もシエナをお茶やランチに誘おうとした。
 ただ、いつだって心の隅にいる弱い自分が言うのだ。勤勉な彼女との会話に英語でちゃんとついていけるのか、テーブルマナーはもう大丈夫か、紅茶は飲めるのか、と。

 いつもいつも、自分の中にシエナと同じイギリスっぽい所を探しては、足りなくて。それを理由にしては後回しにしてしまっていた気がする。

 紅茶がもっと格好よく飲めるようになったら、お茶に誘おう。テーブルマナーが誰にも文句言われないくらいに完璧になったら、ランチに誘おう。成績優秀な彼女と対等に英語で話せるようになったら、デートに誘おう。

 そう言い訳をし続けて、春が過ぎ、夏が過ぎ、2度目の秋が来て、クリスマス目前のこんな状態の今に至るのである。

「せめて、紅茶だけでもかっこよく飲めたらな」

 イギリス人の大好きな紅茶。せめて、ここだけでも家族と同じように馴染めていたら、何か変わったかもしれないのに。

 そんなバカげたことを考えて、ふるふると首を振り、考えと共に頭に積もった雪を払う。

 すっかり黒くなってしまった心に、クリスマスの装飾の赤や緑が華々しく視界を襲う。そんな中でひと際目に入ってきて離れなかったのは、淡いブルーのネオンのクリスマスツリーだ。

 シエナはよく淡い水色の髪飾りを付けている。だから、その色が好きなのだと思っていた。そして、その色が本当によく似合っていたのだ。本当に、とてもよく。

 だから、シエナが黒と言った時、無意識に思ってしまったのだ。

 誰かのために彼女が彼女の好きなものを無くすのがどうしようもなく、嫌だと。

 でも、それだって全てシエナの自由なのだ。
 例えタクが彼女と付き合っていようが、なかろうが、口出しすることではないのだ。

 だからやはり、シエナが他の誰かのために、美しくなり、笑いかけるのが嫌なのかもしれない。

 そう思いつつも、シエナに黒というのが何故か引っ掛かり、つい思ってしまうのだ。

 シエナが本当に黒が好きならそれでいい、でももし違うのなら。

「俺だったら……」

 昇華しきれない想いを抱えたまま、アンジーを自宅へと迎えに行く。そして、その足のまま母が置いていったメモをナビに入力しアンジーのお見合いする相手のいる自宅へと向かう。

 

 

「ミャー」

 道すがら、アンジーが何度も鳴いた。早く、お見合い相手に会いたいのかもしれない。今日で会うのは何回目だろうか。タクが連れていくのは初めてだが、アンジーは動物病院等で何度かお相手の猫に対面している。

「よしよし、もうすぐだから」

 そう声をかけながら、アンジーをじっと見つめる。今度は「ニャー」っと、大きめに鳴いた。何かを訴えかけるような目で。

「アンジー、お前も俺を置いて行ってしまうのか」

 そう弱々しく呟いて、タクは自嘲的な笑みをこぼす。
 皆、すんなりイギリスに馴染んで、仕事や友達をみつけて、大切なパートナーを見つけて、タクを置いて行ってしまうのだ。

 自分は一体、何をしているのだろう。

 否、何もしていないから、今、こんな孤独を感じているのかもしれない。それも好きな人を傷つけて、最悪な形で。

 気分は走りたいくらいだけれど、アンジーに刺激を与えないように、ゆっくりとゆっくりと雪の中、歩き進めていく。そして、ナビが目的地に着いたと言ってきたのは、一軒の茶屋の前でのことだった。

「ここって……」

 先日、シエナが入っていったカフェである。

 そういえば、あの日からシエナは変わった気がする。もしかして、相手はトビーではなく、茶屋の人なのだろうか。自分に扉を開く勇気は、真実を知る勇気はあるのだろうか。

 そう悶々としていると、アンジーが動きガタリとゲージが大きく揺れた。

「ごめん、ごめん。すぐに入るから」

 目を瞑り、深呼吸をしてドアを押す。

「いらっしゃいませ」

 その先にいたのは、先日みかけたターバンの高身長で爽やかなイケメンと、緑の瞳が印象的な髪の長い綺麗な女性であった。

「……タク君だね」
「はい。初めまして、今日はアンジーを……」

 シエナと楽しそうに話していたイケメンへ気まずさを覚えつつも、挨拶の言葉を述べていく。そして、茶屋へと足を踏み入れた瞬間、稲妻のような衝撃が身体中を巡った気がした。

 

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