世界の子どもシリーズ―過去編― 太陽と月の狭間に
太陽と月は交互にこの世界を照らしている。
私は太陽。
私は月。
私たちの光を浴びる全ての者が、可愛い子ども。
愛しい存在。
✵太陽の子ども✵
太陽が最近、特に目にかけているのが、ミアという鳥族の少女。
威勢よく天を飛び交う竜族。
空と陸を自由に舞う鳥族。
壮大な大地を駆け巡るケンタウロス。
海で鮮やかに踊る人魚。
水や火を操る精霊たち。
魔法を使うことに長けた魔法族。
多種多様な種族が共存する中で、存在するのは、半人という血統を表す言葉。
ミアには半分、人間の血が流れいる――……。
太陽だけが知っている事実。
愛しい子どもたちが知らない真実。
それは当たり前で、当たり前ではないこと。
流れる血で優劣が決まるのではない。
ただ、皆それぞれ、生まれもって本能的に知っていることが違うということ。
だから、きっと大丈夫。
「私だって、飛べる。別に、可哀想じゃない」
これは空を舞うことを夢見る、飛べない鳥族の少女とそれを見守る太陽の物語――……。
✶月の子ども✶
月が最近、特に目にかけているのが、ウィルという魔法族の少年。
魔法族は星を詠んで、夜を生きる。
だけど今日も、ウィルは魔法族で一人だけ、星を詠まない。
最年少の天才魔法使いと呼ばれ、誰よりも遠くの星を詠むことができるにも関わらず――……。
ウィルが星を詠まなくなったのは、ちょうどあの日から。
大人と呼ばれる者たちが、状況を見ず、事実だけを見て判断する。
友達と呼ぶはずの者たちが、事実だけを言い、真実を言わない。
先生を始めとする、大人と呼ばれる者たちが期待という言葉を口にする。
家族と呼ばれる者たちが困ったという言葉を口にする。
一方でクラスの全員が言葉を口にしない。
だから僕は星を詠まない。
どれだけ星が詠めたって
たった一人でいる自分が言う真実ではなく、
大勢でいる周りの言うことが真実となることを知っているから――……。
「今日は何をしようかな」
これは孤独な夜を過ごす魔法族の少年とそれを見守る月の物語――……。
✲太陽と月の狭間に✲
魔法族の習慣――……。
特別な成人の誕生日。
大切な人にしか贈ることのできないたった一つの贈り物。
ウィルは今日も走る。
いつものあの一本の坂道の上へと――……。
二人だけの場所。二人だけの秘密。二人だけの約束。
これは愛しいあの子との大切な逢魔が時の物語。
太陽と月の狭間に(掲載終了、本収録予定)
先読み! 月の子どもと月の王子
太陽の子どもと太陽の姫(先読みとして本に収録予定)
✶太陽と月の狭間のその先に✵
海が荒れ、天が嘆き、地が割れる――……。
もう星を詠まないなんて、言わないよ。
大切な君を、守りたいから。
だから僕は、もう一度
星を詠む。
誰の為に?
君の為に――……
再び迫られる、生きる場所の選択。
君と行きたい。
君と生きたい。
だって僕は知り過ぎてしまったんだ。この世の全てを。
だから、一人では耐えられない――……。
だけど……。
僕は夜を生きていて
君は昼を生きている
交差する一人の魔法族の少年と鳥族の少女の運命。
その先にあるのは新しい時。
「僕は秘密の地下鉄に乗る。だけど、君は……」
すれ違う想い
揺れる心
迫る決断のトキ
「見くびらないで」
私はもう飛べる――……
だからちゃんと選べるんだ。
空で生きるか、陸で生きるか。
これは月に愛されし夜を生きた少年と
太陽に愛されし昼を生きた少女の物語――……。
あなたは誰と何処で生きますか?
✾✾✾
『太陽と月の狭間のその先に』はシリーズの順を追って、また後日♡
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