オリジナル童話

その手に触れられなくても~secret episode~side サンムーン①

2022年8月23日

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その手に触れられなくても~secret episode~side サンムーン①

時系列的にepisode0.9をお読みいただいた後にご覧頂くことをオススメ致します<(_ _)>°˖✧

はるぽ
番外編のため、試し読みです!今後、サンムーン編は本編と並行して番外編として連載が進んで行きます。番外編は書籍のみ、もしくは期間限定で会員様限定で閲覧できるようにする予定です!重要パートなので、序盤だけご紹介させて頂けたらと思います♪ご興味がある方はよろしくお願い致します♡

 

 思ったより、やりますね。このスピードについてこれますか。

 ちらりと視線だけを後ろへとやり、カリバーンは残りの追手の数を確認する。

 いち、に……三人目は脱落したみたいですね。二人目も、時間の問題かな。飛行が乱れてる。

 再び視線を戻し、鉤爪の角度を若干変えて、首を少し下げて体制を整える。

 さて、だいたいの実力はわかりましたかね。

 ……残ってるひとりは、力が桁外れに違う。これは想像以上に、気合がいりそうだ。知能と根気とトキの運比べ、ですかね。

 そのまま風が吹くのに合わせて、一気にスピードを上げていく。

 すると、後方で、やはり最後まで付いてきていたひとりの男の追手の気が跳ね上がった。まるで、喜ぶかのように。

 これでも平気でついてこれますか。撒こうと思うと、最高値までスピードをあげないと難しいかもしれないですね。

 髭がカリバーンの口角が上がるのに合わせて、跳ねるように揺れる。それに合わせてゾクリと背筋が伸び、銀の鱗一枚一枚に氣が流れこみ、ぴしぴしと音を立てる。

 敵が強ければ強いほど、冷や汗の代わりにゾクリとする何とも言えない感覚が全身に駆け巡らされるのだ。

 ああ、久しぶりに、全力で飛びたい。

 何なら蜷局をまくかのように、威嚇しながら、波動を放ちながら激しく飛び、どちらかが力尽きて海へと落ちてしまうその瞬間まで魔力とスピードを出し尽くしたい。

 そんな風にニヤリと口を緩めてしまったところで、残念なことに視界に宙への繋ぎめを見つけてしまう。

 最悪ですね。このタイミングでトキの運が巡ってしまいましたか。

 一瞬捉えただけだというのに、即座に繋ぎめの箇所までの距離を割り出し、溜息にしてはいけない息を飲み込んで、カリバーンはスピードを緩めることなく、飛行速度の調整を行う。

 それはまるで、体内に水を取り込むかのごとく、浸透していくように、細かな調整をしていく。スピードは同じなのに、空気抵抗を利用して、自然とスピードが気づかないうちに緩んでいるように。

 ……おそらく、ここまでの飛行に付いてこられるというだけで、かなりの知性も持ち合わせているはず。下手にレムリア上空を飛び続けることはできない。宙への繋ぎめにも早々に巡り会ってしまいましたしね。

 例えば、龍族の者は皆、飛べる。竜族もそうだろう。妖精に精霊はもちろんのこと、鳥族や、使う魔法によっては魔法族も。

 ただ、飛行ができるからといって、同じだけ飛べるのかと聞かれれば、それは、そうではない。

 特に宙を飛べるのは極僅か。龍族の中でも実は一部の者のみだ。

 龍族もまた、チェルシーが最後の王族であるように、変化はできても宙まで飛べる者は少なくなってきていた。

 そんな中で全員があれだけ宙へと飛行できていたのはチェルシーが結んでいたからだ。宙への繋ぎめと、移動したいポータルポイントを。

 これもまた、神髄を知っている者が少ないために誤解されがちだが、天をそのまま進んでいたら宙に付くのかというと、そうではない。

 天の上に宙はあるだけなのだ。宇宙へと出ようと思ったそのとき、それはどこかに現れる宙の繋ぎめに巡り会わなければならない。

 宇宙を移動して各星々を目指すとき、それは時空を繋ぐか、次元を繋ぐか。はたまたピッタリ正確に移動しようと思えば、時空と次元の両方を繋がねばならない。そしてそうではないトキ。それらは、星々の放つ光のぶつかり合いや、時空と次元の隙間から生じる宙の繋ぎめを潜り抜けなければならない。

 それらに耐えうることができるのは、高度な最先端技術の乗り物とそれらを操縦する知識を持ち合わせているか、はたまた全てに堪えられるくらいに、強固な身体もしくはそれに匹敵する魔力と耐えうる魔法を連続して使い続けられる者のみである。

 そして、その強固な身体に該当するのが龍族なのだ。

 宙の繋ぎめは発生しうる場所というのを予測する知識と経験がなければ見つけられない。尚且つ、そこを潜り抜けているまさにその時、その先に待つ星の取巻く環境に急激に変わっていくため、重力、気圧、酸素濃度、至るものに対応出来ねばならないのだ。

 さらに言うと、それらは対応できるからといって、耐えられるかというと、そうではない。

 どれだけの強固な身体を持っていても、凄まじい痛みを伴う。だからこそ、今までは他の種族や国にバレぬように、龍族ではチェルシーが、苦痛なく移動できるよう、例の扉のようにレムリアに発生した宇宙の繋ぎめと移動先のポータルを結んでいたのだ。

 本当に繋ぎめを移動して配達することができる者がいるとするのならば、それは龍族の中でもチェルシーかカリバーンしか到底、無理であろう。

 そして、その繋ぎめへと巡り会うのもまた、知識と経験が必要なのに加えて、運も重要なのだ。

 宇宙には知識と経験だけでは到底辿りつけない、運に託さねばならない未知の部分が多々存在する。

 例えば、発生する宙の繋ぎめというのもまた、辿り着く場所は宇宙の気まぐれ。こちらから選ぶことはできない。

 ひたすら発生したその先へと移動し続けて、自分たちが行きたい場所へと辿りつくのを待つしかないのだ。

 目の前の、宙に現れた赤とも紫とも青とも言える、不思議な渦巻くその繋ぎめを見据える。

「……久々に……くぐってみますか」

 思わず、声がそのまま言葉となって口から零れ出てしまっていた。

 この繋ぎめの存在を知っているのもまた、極一部の者であり、見つけられるくらいに飛行できるというのも、相当の強固な身体か、技術か、魔力を持っているということである。

 そんな条件下の中で、後ろの男はやはり付いてきている。それも、人型の姿のままで。

 よりにもよって、魔力タイプの飛行ですか。厄介ですね。

 本来の計画ならば、ここに辿り着く前に撒きたいところであった。けれど、彼らはあくまで攻撃ではなく、配達をちゃんとしているかの確認のための追手なのだ。

 怪しまれぬためには、下手に撒くために、全力で飛ぶということができなかった。

 けれど、このレムリア内であれば、繋ぎめをみつけるまで飛行し、カリバーンの通常スピードでも付いてこれるものはいないはずであった。彼らは海へと還っているのだから。

 それなのに、追手は人型の状態で付いてきている。それは即ち、既にどこかの国がレムリアに一枚、噛んでいることを意味していた。

 ……本当に化かし合いだ。

 カリバーンは繋ぎめを目の前にしながらも、直前まで追手の様子を伺っていた。

 例えば、これだけ飛行できる者がいるのにわざわざ龍族に配達係を頼むのはどういうことか。

 いくつか考えられるものの、濃厚な可能性は二つ。

 確実に声明文を渡すよりも、レムリアが既にどこの国と繋がっているのかを知られるのを避けたい。

 もしくは単純に、繋ぎめまでは飛行できても、繋ぎめを潜ることはできない。

 ……普通に考えて、後者であってほしいですね。色んな意味で。

 けれど、本当にこの声明文を配達するわけにもいかなければ、配達していないと思われる訳にもいかない。

 ここまで付いてこられたら、繋ぎめはくぐってしまうしかないだろう。最悪、本当にいくつかの国は配達してしまわなければならない。

 どうする? どこに配達し、どのタイミングでサンムーンへ戻る?

続きは『その手に触れられなくても①』にてお願いします♡もしくは、刊行後、時間を置いて魔法茶屋にて期間限定で公開予定です。よろしくお願い致します!

 

その手に触れられなくても―王族の間―

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