#短編小説

小説・児童文学

陽によう

陽ようによう    炊飯器のスイッチを押す。  それを合図にグラスに注ぐのは、少し度がきつめのアルコール。  窓越しに日の光が差し掛かり、炊飯器が仏のごとく、輝きを放つ。  その光景を眺めな ...

小説・児童文学

まわる、コーヒーカップ―旋―

まわる、コーヒーカップ―旋―   ※一話完結「めぐる、メリーゴーランド―螺―」と対の物語になります。まだそちらをお読みでない方は、―螺―からお読みくださることをお勧めします! 「めぐる、メリ ...

小説・児童文学

めぐる、メリーゴーランド―螺―

めぐる、メリーゴーランド―螺―   『ここは運命の螺旋階段。登りついたその先に、あなたの人生みちがあります』    通された扉の向こうには、仄暗い一本の道が続いている。  その道を ...

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私の新しい城

私の新しい城  玄関から順に、確認の意味でゆっくりと歩き出す。  下駄箱はないから、パンプスやスニーカーを隅にぎゅっと並べて、正方形の本当に靴を履いて脱ぐだけの小さなスペースが、私の新しい城の入り口。 ...

小説・児童文学

私の散歩コース

私の散歩コース   「やあ、おはよう。今日も来てくれたんだね」  彼が今日も私に声をかけてくれる。もうすっかりと、彼の吐く息が白く染まり始めて、気が付けば私たちが歩く道には紅葉が多く散らばっ ...

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四季折々~私の一番好きなケーキ~

四季折々~私の一番好きなケーキ~ 「いってくるよ」 「うん、いってらっしゃい」    そう言って、あなたは振り返ることなく行ってしまった。   四季折々~私の一番好きなケーキ~ & ...

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放課後に降るサイコロの雨

     サイコロを、振る。  手から零れ落ちた瞬間に、その小さな箱は机の上に跳ねて、さらに勢いを増して床へと転げ落ちていった。  視界に映りこむのは赤いひとつの点。 「いち」   ...

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ウグイスが鳴く夏に

   じっとりと汗が滲んでくる。張り付いたTシャツ。寝返りを打つと広がるムワッとした空気。意識が少しずつ、夢から現実へと引き戻されていく。  暑い。蒸し暑い。  そんな気持ち悪さを掻き消すか ...

私の達人

小説・児童文学

私の達人

   いつもの帰り道。多くの人が足早に駅へと向かう中、一人のろりのろりと歩き進めていく。まるで、自分だけに違う時間が流れているかのように。  今日は久しぶりの定時あがりだ。来る日も来る日も残 ...

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