一覧

【宝石×小説】誕生石の物語―地球への贈り物―

2025年1月1日

スポンサーリンク

【宝石×小説】誕生石の物語―地球への贈り物―

 

💎毎月第5土曜日(第5土曜がない月はその月の最終日)更新💎

 

はるのぽこ
誕生石にちなんだ小説を月一「読み切り」で連載していきます💎

 

💎誕生石一覧💎

 

1月  ガーネット

2月  アメシスト(アメジスト) クリソベリル・キャッツアイ

3月  アイオライト アクアマリン ブラッド・ストーン さんご

4月  ダイヤモンド モルガナイト

5月  翡翠 エメラルド

6月  真珠 アレキサンドライト ムーンストーン

7月  ルビー スフェーン

8月  ペリドット サードオニックス スピネル

9月  クンツァイト サファイア

10月 トルマリン オパール

11月 シトリン トパーズ

12月 ラピスラズリ トルコ石 タンザナイト ジルコン

 

 

💎宝石×小説📚

 

 

prologue「地球への贈り物」

 

―天界―

 天界で最も標高の高い宝山は、そのほとんどが雲で覆われています。けれども、山の頂上付近ではすっかりと雲も晴れ、周りを見れば宙が、下をみれば雲の海が見え、それはそれは美しい絶景を味わうことができるのだとか。

 その宝山に住まわれるのは、この世界の創造主、推称様でありました。
 天界に住まう者はこぞって推称様を慕い、宝山の頂きから見られるという絶景に憧れていました。

 そして、推称様は大変に慈悲深く、お優しい方でした。
 宝山を訪れたい者を快く招き入れ、誰でもこの絶景を楽しめるよう、山の入り口を開放していたのです。

 けれども畏れ多くて山に足を踏み入れる勇気のある者はほとんどおりません。
 さらには雲で覆われ天界の中でもひと際標高の高いその山を登ることは、並大抵のことではありませんでした。
 時折、ひとり、ふたり入山しては、すぐに根をあげて山から引き返してくるのです。
 結局、推称様以外の誰も、宝山の頂の絶景を目にするものはありませんでした。

 けれども、それから長い歳月を経て、ひとりの若い女がとうとう、宝山の頂へと到達したのです。
 その名を、ガーネットと言いました。
 さらには彼女の到着から数日違いでしょうか、アメシスト、アクアマリン、ダイヤモンド、と同じく若い女や青年たちあわせて十二人が、宝山への登頂に成功します。

「よくお参り」
「有難き幸せ。……なんと、なんと美しい景色でしょう」

 そこから見られる絶景というのは、噂に違わぬ、否、噂以上に美しいものでした。

「恐れながら……ひとつ、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「うむ、何でも聞いてくれて構わぬ」
「ありがとうございます。……あの宝のように輝く球体は、なんと言うのでしょうか」

 ガーネットが代表して問うたそれは、宙に浮かぶ青く、丸い球体でした。けれども青一色かというとそうではなく、この天界の雲と同じように、白が混じっていたり、深い緑が混じっていたり、他の色との混じり合いがまた、大変美しいのです。

「私も、知りとうございます」
「私も教えていただきとうございます」
「もちろんじゃ」

 ガーネットに続き登頂したアメシストやダイヤモンドたちも、頂に辿り着いた十二人全員が、その美しい球体にくぎ付けとなっていました。
 推称様はゆるりと微笑まれ、快く、その答えもお教えくださいます。

「あの美しい球体は、地球、という。私が新たに作った世界だよ」
「地球……」
「お前たちは長い間、それぞれの山へと籠り、努力を重ねこの宝山を登れるようになるまで修行していたのを、知っておる。お前たちを見込み、特別な仕事を頼みたい」
「あ、有難き幸せ」

 こうして、十二人の若者たちは世界の創造主、推称様の弟子となったのです。

「よいか、これをみてご覧なさい」

 推称様の手には、透明の、大層美しい結晶の塊が握られておりました。

「まるで氷のようであるのに、溶けないなんて」
「そうじゃ。これは氷ではなく、石である。私はこれを水晶と名付けた。……あの地球には多くの動植物が育ち、人間という、主らのように知能をもつ生き物の進化が確認された」
「なんと素晴らしい。誠におめでとうございます」
「うむ。そこで主らにも、人間たちに何か心が豊かになるような宝を与えてやってほしいのだ」
「宝……ですか?」

 十二人の反応に合わせ、推称様は手に持っておられる、名を同じ「水晶」というものを前へと出し、おっしゃった。

「地球は自然にあふれ、大変面白い性質をしておる。その性質を利用して私はこれを作ったのだ。水晶をみつけた人間たちは大層喜び、装飾などに使い、新たな文化を生み出していった。この山を登ることのできたお前たちは、いつかは世界を作る者となるだろう。まずはその修行のひとつとして、地球の性質を利用し、このような美しい石を作り、人間たちに贈ってやってはくれないか」
「はっ、畏まりました」
「恐悦至極に存じます」

 十二人の弟子たちは、推称様の作られた「水晶」を参考に、美しく青く、色を交えて輝く球体、地球に宝石の贈り物を作りはじめました。

 

 

to be continued……

 

 

1月 ガーネットの物語 coming soon

 

 

宝石検定💎

 

日本宝石協会さんが行われている宝石検定を取得しました💎✨
ペンダントやネックレスもワイヤーラップ講座を卒業してます💍

こちらは連載に合わせてアクセサリーも一緒に作品として作っていけたらいいなと思っております!
よろしくお願いいたします💓

 

短編・中編一覧

世界の子どもシリーズ

ループ・ラバーズ・ルール

フィフィの物語

はるぽの物語図鑑

-一覧

© 2025 はるぽの和み書房