オリジナル小説

星のカケラ~episode 0~

2021年9月1日

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「今日でバイト最後だから、これ三波にやるな」

 そう言って渡されたのは苦手な激辛フードの詰め合わせ。

「三波も激辛好きだったよな。今までありがとな」

 その後、何て答えたのかはよく覚えていない。

 入れ替わりで入ったシフト。
 いつものように注文されたケーキを箱に詰めて、レジを打って、お客様に渡していく。

 こんなにもぼんやりとしているのに、ケーキをつぶさずに詰められるのだから、私も成長したものだな。そんな風に思いながらも、バースデーケーキの注文なのに、上手く笑えているのか分からなくって、気を抜いたら涙が出そうで、やっぱり、全然成長なんてしてないや。

 その繰り返しで、バイトの時間が過ぎ去っていく。

 

「ねぇ、しほちゃん。今日はちょっと厨房の方を手伝ってくれない?」
「……え、でも、私……」
「大丈夫、大丈夫。試作品の手伝いなだけだから」

 そう笑顔で言われ、私は厨房へと入っていった。

 渡された白いエプロン。既に用意されている材料。言われるままに、それらを混ぜて行き、何ができるかも分からないまま作り進めていく。

「これで、いいんですか?」
「うん、後はここに好きな色を入れて」
「好きな……色」

 ふと思い浮かぶのは、先輩が好きだった青。先輩の好きな野球チームの色で、私の鞄の中には、今年になってファンになったばかりのそのチームの観戦チケットが二枚入っている。

「一色だけでも、何色か混ぜてもいいよ。琥珀唐で星のカケラを作ろうと思って」

 店長に促され、自然と手が伸びたのはやっぱり青で。数滴垂らしてみると、透明な液体の右側半分が青に染まっていき、それを見て気づく。私では、この色じゃダメなんだと。

 歪む視界の中で、それを打ち消したくて、慌てて違う色を垂らし直す。

 けれども、今度はその色が左側半分を占領するだけで、青を消してくれることはなかった。私はただ青と黄色を喧嘩させただけで終わってしまったのだ。

 消えない色に胸が苦しくなり、ポトリと一滴の涙が零れ落ちる。

 その雫が黄色の波を作って、青に被さった時、それらは交じり合って弧を描くように新たな色を作り出した。

「緑……」
「うん。綺麗だね」

 そんな私の涙が乾いた頃、それらは固まり、店長によって綺麗な宝石へと変えられていった。

「食べてみる?」

 乾燥させる前に、味見でと渡されたまだ柔らかい私のカケラ。

「苦くて、甘い」

 口に含んだ瞬間、私の中へと溶けていった。ほろ苦い恋と、初めて知った蜜と、私の色と共に。

 

 

episode1

 

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